八ヶ岳の最高峰、赤岳(2899㍍)で黒ネコを保護した赤岳展望荘(2722㍍)のご主人、藤森周二さんにお話をうかがいました。
藤森さんによると、黒ネコは8月初旬に山頂付近に姿を見せたそうです。行動のパターンがほぼ決まっていて、正午ごろには赤岳山頂に近い山頂山荘に現れた。登山者がちょうど登頂を終え、昼食をとる時間が分かっていたようで、登山者から食べ物をもらい飢えをしのいでいたようです。夜になると、山頂から赤岳展望荘におりてきました。標高差は約177㍍。人間が登ると約30分ほどかかりますが、ネコはもっと早く上り下りするそうです。展望荘には寒さをしのぐ場所があるため、黒ネコは上り下りを日課としていたようです。
それでも食べ物は足りなかったようで、ネズミや岩ヒバリ、ホシガラスを捕まえた形跡がありました。黒ネコを保護したのは、10月26日の朝。前日が寒い日だったので、暖をとることができるように小屋の一部の扉を開けておいたところ、黒ネコが室内に避難してきたため保護することができたということでした。
藤森さんは「5年ほど前には、ペルシャネコ風の白ネコが現れたことがありましたが、白ネコは雪が降った後に山を下りていく足跡がありました。きっと下山したのでしょう。今回の黒ネコは下山の気配がなく心配していました。早く、引き取り手が決まってほしいですね」と話していました。

