赤岳で保護された黒ネコは元気?

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10月26日に八ヶ岳連峰の主峰・赤岳(2899㍍)で保護された黒猫は元気だろうか。5日、長野県諏訪保健福祉事務所に様子を見に行ってきました。
黒ネコは『特別室』のゲージの中で昼食を終え、食後の休息中。当初は動物舎にいたのですが、元気が良すぎる犬と一緒だったので静かな環境に移したということでした。同事務所の倉庫部屋のことを職員の皆さんは『特別室』と呼んでいます。
食品・生活衛生課の小木曽悦人課長に話を聞きました。赤岳展望荘のご主人に黒ネコの保護を依頼したのは、小木曽課長です。
課長によると、10月21日に登山者から「八ケ岳の高山にネコがいますよ」という連絡があった。翌22日、『赤岳に黒ネコが住んでいる』という地元紙の報道を見て、「これはいかん。八ヶ岳は厳冬期に入る。山小屋も閉まる。どうにか黒ネコを助けたい」。獣医師でもある小木曽課長は動物愛護の精神にあふれた方です。早速、赤岳展望荘の主人・藤森さんに連絡。「よし、任せてください。山小屋のスタッフで保護しますよ」と藤森さん。23日に赤岳の登り口にある美濃戸口までネコを運ぶゲージとキャットフードなどを届けました。山小屋の女性スタッフらがゲージを山頂に運び、保護作戦が始まりました。
課長は「どうか、やさしく捕まえてください」とお願いしたそうです。動物虐待に対しては厳しい課長です。
黒ネコは8月中旬ごろから山頂に近い赤岳山頂小屋と赤岳展望荘の間を住処としていました。藤森さんら二つの山小屋の皆さんは、黒ネコの保護に乗り出しました。キャットフードをまいたり、声をかけたり。少しずつ警戒心を解き、黒ネコがゲージに自ら入ったのは26日午前8時。保護作戦は4日間も続きました。「山小屋の皆さんのおかげです。繁忙期、山小屋の閉鎖時期にもかかわらず、保護していただき、心から感謝しています」と小木曽課長。
「キキ」「キキ!」と保健福祉事務所の皆さんは声をかけています。映画「魔女の宅急便」に登場する黒ネコの名前になぞらえているようです。
“キキ”は乳歯が2本抜けた後があることから、1歳前後とみられます。人間が触っても、威嚇をしないし、のどを嬉しそうに鳴らすことも。「飼い猫だったかもしれませんね」(課長)。
反響は大きく、全国から毛布や食べ物の差し入れに加え、「黒ネコを譲ってください」という要望が十数件寄せられています。
“キキ”の世話は、乳肉動物衛生係の3人の女性が担当。抱っこの練習も始めています。職員はポケットマネーでおいしい餌を買ってきたり、湯たんぽを持って来たり。マスコットのように可愛がっています。
小木曽課長は、飼い主が確認できなかった場合、「黒ネコの性格や適性を把握しながら、ふさわしい引き取り手を選びたい。家族の一員としてやさしく接してくれる方、最期まで大事にしてくれる方、室内で飼っていただける方にお願いしたいですね」。魔法のほうきに乗って、“キキ”が逃げてしまわないように……。

「魔女の宅急便」の黒猫にちなんで「キキ」の愛称で呼ばれていました。
「魔女の宅急便」の黒猫にちなんで「キキ」の愛称で呼ばれていました。
「やさしく接して、ゆっくり人に慣らしていますよ」と小木曽課長(右)と獣医師の渡辺さん
「やさしく接して、ゆっくり人に慣らしていますよ」と小木曽課長(右)と獣医師の渡辺さん

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