八ヶ岳の「八峰」は?

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八ヶ岳の呼び名の由来はなんでしょうか。

山名が地誌や書物、絵図などに登場するのは江戸時代以降のことです。

享保18(1733)年の諏訪藩一村一限絵図には「八ヶ岳山」「阿弥陀岳」「赤岳」「あみ笠岳」「八ツケたけ」「八ヶ岳」という言葉が記されています。1894(明治27)年発行の「新選信濃地誌」では、「赤岳」「八が岳」が紹介されています。

実際、八ヶ岳には八つ以上の山々があります。江戸や明治の人たちは、多くの峰が連なる山景を「たくさん」という意味を込め「八つ」と表現したのでしょう。八甲田山の「八」も「多く」を意味し、同時に末広がりの「八」でめでたさを表しているそうです。

とはいえ、八峰にもこだわりたい。「日本百名山」の深田久弥は、編笠岳、西岳、権現岳、阿弥陀岳、赤岳、横岳、硫黄岳、峰ノ松目を八峰としていますが、地元の多くは、峰ノ松目の代わりに「天狗岳」を入れます。また、西岳と峰ノ松目の代わりに「天狗岳」と「北横岳」を入れる場合もあります。

「山、自分を見つめて歩くこと」。黒百合ヒュッテの二代目主人、米川正利さんの言葉です。登山者がそれぞれに自分を見つめて歩き、八峰を見つけてもらうのが一番いいのかもしれません。

蓼科山山頂から望んだ八ヶ岳連峰。右から、西岳、編笠岳、権現岳、阿弥陀岳、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳。
蓼科山山頂から望んだ八ヶ岳連峰。右から、西岳、編笠岳、権現岳、阿弥陀岳、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳。

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